2025年6月某日、2年ぶりにコロナに感染してしまった。
それはもう突然に。
周りには誰も感染者もなく、「最近少し、自分疲れてるかもしれない…」と思った矢先だった。
いつもと違うとこはなかったか?と問われたら、今日はいつもより頻尿だな…と思う程度だ。
しかし、朝、目覚めると、少しだけ喉の不快感とだるさを覚える。
「育児疲れで風邪ひいたかも…」
こどもたちのここ最近の聞き分けのなさに、ひどく体力を削ぎ落される感覚を感じていたので、そこに病原菌がつけこんできたのかもしれない。
熱がいつもより高めの37.7℃を計測。保育園ならアウトな温度だ。
大人しく部屋で寝てみるが、暑くて寝苦しい。
いくらクーラーの温度を下げようとも、全く部屋が涼しくならない。
夫に「クーラーが壊れてる」と相談すると、「いや、寒っつ!!」と驚かれ、そこでようやく、自分の体温が異常だったのだと気付く。
なんと40℃まで体温は上昇していた。
熱が上がり切ると、次は、大量の発汗が続く。
夜通し、ずっと熱い。
同時に、次から次へと汗が噴き出してきて、気持ち悪い。
もう全身の毛穴から水分が出まくって、着替えと布団のシーツを何度も交換するほどだった。
2日目
翌日、熱が下がる。
代わりに、ものすごい倦怠感に襲われる。
とにかく「だるい」。
横になってもだるいのは、この人生で初めてだ。
最初はただひたすら寝るだけでよかったが、昼頃になると、寝すぎて眠れない。
でもだるい。
寝すぎて坐骨付近も痛い。
痛いしだるいし、八方ふさがり。
この不快感を忘れるため、懐かしのドラマを鑑賞したり、乙女ゲームにうつつをぬかすことで、だいぶ気分は上がる。
その間に、親や夫が上げ膳据え膳で食事を運んできてくれる。
幸い、この地点で喉が痛いという症状はなかったが、代わりに嗅覚と味覚が奪われ、何を食べても、何を飲んでも無味。
食べることが楽しくないなんて、人生においてこんな残酷なことはないと痛感した。
3日目
だいぶ調子が良くなった。
2日目の「だるさ」が消え、少しなら家事ができそうなレベルにまで回復した。
家事をしようとしたら、夫が「一歩も出ないでくれ」と言ってきた。
コロナ陽性が判明し、夫がピりつくかと思ったが、いつも家事をしないでダラダラばかりしている夫が、率先して家事をしてくれるようになった。
やればできるじゃん、夫への薄れかけた愛情が少し回復する。
しかし、子との会話を聞いていると、
「ママからウィルスが出てるから近づくな」
「部屋に入るな、部屋の扉も開けるな。ウィルスが流れてくる」
と聞こえてくる。
はぁ?言いすぎじゃね!?
少し回復した愛情は、むしろ前より沈下した。
まぁ、でも、たしかに、コロナの感染力は尋常ではない。
2.3日目が一番感染リスクも高いと言われてるので、たしかに夫の言動も理解できる。
グッと切ない気持ちをこらえる。
その後、ゴトゴトと音が聞こえてくるので、扉の隙間から覘くと、夫は家の至るところをアルコールスプレーしたり、私がコロナになる前に触ったと思われる衣類も、すべて洗濯している様子が目に入る。
なんなら、濡れたままのお風呂場も全てアルコールを吹きかけていた…(意味ない気がする)
う~ん…偉いけどさ、偉いんだけど、
やりすぎなのでは???
私のこと、歩くウィルス扱いがすごすぎない???
もう嫁でも妻でもなく、私のこと「ウィルス」って思ってる夫。
結婚生活の中で、一番モヤる日となった。
7日目
切ないコロナ隔離生活を終え、ようやく、私は仕事復帰をはたした。
しかし!!
仕事から帰ってくると、夫に
「リビングにはこないで」
言われる。
「色々調べたら10日は危険らしい!」
と言い放つ夫。私が返ってくるや否や、マスクも手袋もしていてフル装備すぎる。
その言葉を受け、私はもう何も驚くことなく、そのまま自分の部屋にこもることにした。
よくよく考えてみたら隔離生活の方が、一人気ままにすごせるので、ぶっちゃけ快適かもしれない。
夫の厳しい監視からの隔離ライフで、独身時代の悠々自適ライフを思い出してしまった私。
なんなら、「1年は出てこないで」とか言ってくれてもいいくらいだ。
コロナになったここ数日を思いかえしてみると、それなりに辛かったけど、仕事も休めて1人時間も満喫できたので、久しぶりにいい休養になった。
夫が、異常なまでに私を歩くウィルス扱いしてきたのは少しひっかかるが、何も言わずに家事や育児をしてくれたので、無罪放免といこう。
私のオチのないコロナ体験談でした(完)